Prologue  旅、はじまる。

SPOT | 【見つけて、眺めて、心満たす】「アート」な旅

「ねえ、見て! あれって……」ウン十年のお付き合いになる女友達数人で、ホテルランチを楽しもうと訪れたレストラン。静かで落ち着いた雰囲気が心地よい店内、ひとりが目を丸くして天井を見上げている。「ほらあのシャンデリア……“人の顔”に見えない?」

言われてみると、変わった形のシャンデリアで三つの顔が連なったようなデザインになっている。全員が天井を見上げておしゃべりしているテーブルは店内でも目を引く存在だったらしく、ホテルのスタッフが「あの照明、気になられましたか?」と声をかけてくれた。

聞いてみると、このホテルを設計した村野藤吾という建築家がこのレストランの雰囲気に合わせてオリジナルでつくったシャンデリアなのだそう。「こちらのホテルは、“満ち足りた気持ち”になっていただくための場所です。だから目を楽しませる“アート”が、建物のそこここにあるんですよ」そう言って、こっそりとホテルのアートポイントを教えてくれた。

ホテルの中に隠されたアート――。
芸術を見つけに行く、という旅もいいかもしれない。

 

「明暗」のデザイン

間接照明で明るさが抑えられた、ちょっぴり窮屈な廊下。この、ほの暗い場所をゆっくりと抜けると……そこは、正面に浅間山を望む明るさに満ちたレストラン。たっぷりの陽光と森と空の色彩を満喫できる空間が広がる。明るさと開放感を強調するための心憎いデザイン、ここにあり。

アンティークデザイン

1934年創業の「蒲郡ホテル」を前身とするこのクラシックホテルには、そこここに洋風建築の美しいデザインがあふれている。そのひとつが、創業当時から活躍し続けているエレベーターの表示盤。アール・ヌーヴォー調の優美な曲線が、訪れる人を旧きよき時代へといざなってくれる。

和の明かりデザイン

「行灯」の光が投げかける、やわらかでやさしい明かり。高輪にあるシティホテルでは「行灯」を館内の案内表示に使い、和の美しさを生かした落ち着きの空間を演出している。2007年には、すぐれたサインデザインに送られる「SDA賞」を受賞したという。和紙を通したほのかであたたかな光が、旅人の疲れを癒やしてくれる。

 
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