Prologue  旅、はじまる。

FOOD | 【 【価値ある1本に出会う】シェフソムリエが選ぶワイン

ここはホテル最上階・33階にあるフレンチレストラン。結婚記念日のお祝いにとやってきたこのレストランは、ワインの品揃えが多く、ソムリエが常駐しているということで、最近ワインに凝りだした夫が予約してくれた。窓の外には、東京の夜景。レインボーブリッジやお台場の観覧車などが、華やかにきらめいている。そちらに夢中になっている私に、夫はマイペースにワインのことを語り出す。

「毎年11月になると“ボージョレー・ヌーボー”の話題が出てくるでしょ。あれはフランスのボージョレー地区で作られた新酒(ヌーボー)のことで、解禁日もフランスのワイン法で11月の第3木曜日と決められているんだ。だけどほかにも新酒はあって、11月6日にはイタリアの“ヴィーノ・ノヴェッロ”が、ドイツでは解禁日のない新酒“デア・ノイエ”が、オーストリアでは11月11日に“ホイリゲ”が解禁される。日本は東にあるから、ヨーロッパよりも8時間ほど早く飲めるんだよ。来年は全部の新酒を解禁日に飲みたいなぁ」。

新酒について想いをめぐらす夫だが、いま手元のグラスに注がれているのはヌーボーではない。グラン・マレノンという名の、しっかりとした味わいの赤ワイン。

「ヌーボーをいくら寝かせておいても、このワインのようにはならないんだ」と言いながら、夫はルビー色に輝く液体を口に含む。「ヌーボーは、新酒で飲んでもおいしい製法(マセラシオン・カルボニック)で作られていて、逆に言うと早く飲まないと劣化してしまう。ヌーボーにはヌーボーの、熟成ワインには熟成ワインの“出会うべきとき”があって……きっとソムリエには、そういうのがわかるんだろうね」。

世界中に数多あるワインの中から、価値あるワインを買い付け、今日の料理に合わせて適切に提供する。ワインと食べ物とのおいしい組み合わせのことをマリアージュ(結婚)と呼ぶけれど、その縁談をよりよくコーディネートするのがソムリエなのだろう。

今日のワインを選んでくれたソムリエに聞いたのだが、このワインを買い付けた人は小飼一至さんというソムリエ歴40年のベテランで、なんと、国際ソムリエ協会の会長も務めていたとのこと。

素晴らしいワインに出会えたことに、今日の夫はとても満足そう。帰る頃にはきっと「また来ようね」と言うだろう。ワイン片手に縁や出会いについて考える……そんな結婚記念日も素敵だなと素直に思った。

バラエティー豊かなグラスワインから、希少価値の高い銘醸ワインまで。ソムリエに希望を伝えれば、おすすめのワインを選んでくれる。

小飼ワインセレクション プリンスホテルシェフソムリエ小飼一至氏おすすめのワイン

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グラン・マレノン コート・デュ・リュベロン(赤)

フランス ローヌ地方 リュベロン地区産。赤・辛口タイプ。
黒系果実の凝縮した香り、スパイスや杉の葉など様々な香りが重なり複雑で濃厚。渋みも程よく重厚感があり、赤身のお肉の煮込み料理と良く合います。

グラン・マレノン コート・デュ・リュベロン(白)

フランス ローヌ地方 リュベロン地区産。白・辛口タイプ。
輝きのある黄金色、香り高くなめらかなボディ。樽熟成に由来するバニラとハチミツの香り、酸味は控えめでチャーミング。
和食との相性も抜群です。

トレジョ・ブリュット

スペイン ペネデス地方 カン・マルティ・デ・バイシュ産。白・発泡・辛口タイプ。
シャンパーニュと同じ製法で造られたスペインの最高級スパークリングワイン。クリーミーな泡立ちとフレッシュな酸味、ピュアですっきりとした辛口です。食前酒にどうぞ。

 
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