雛人形は日本の民族衣装である十二単の歴史に基づいて細かい部分まで忠実に再現され、平安王朝の格式を現代に伝える芸術品として高く評価されているため、人形の中でも最高級とされています。
中でも京雛は、頭師・織物師・小道具師・手足師・髪付師・着付師(人形師)などからなる分業制であるため、特別ブランドとされています。安藤さんは京雛作りの一番最後の工程を担い総仕上げをする着付師です。
安藤人形店では、新しい感覚を雛人形に取り入れながらも、人形の形や衣装の柄等、貴族文化といえる有職の伝統にこだわり続けています。また、お子様が無事に育って欲しいという願いと真心を雛人形に込めて、ひとつひとつ丁寧に手作りしています。
京都 桂甫作 安藤人形店
明治36年から100年以上続く、京都 桂甫作 安藤人形店。
ご主人の三代目 安藤桂甫さんは、「京の名工 京都府伝統産業優秀技術者」や「現代の名工 厚生労働大臣表彰 卓越技能者」など数々の受賞歴を持つ京人形伝統工芸士です。2020年秋には瑞宝単光章を受賞されました。
京人形作りの長い伝統を守り、大量生産の時代にありながらも、品質にこだわりひとつひとつ丁寧に心を込めて手作りしています。
こだわり
雛人形について
人形の土台となる部分です。雛人形はここから作られます。
男雛女雛は藁胴、官女や五人囃子などは桐の木の胴からできています。
首元には着付師の名前が刻まれています。
衣装・頭など素材への気配りを大切にしています。それぞれが伝統工芸の名匠の作品であり、雛人形には職人の技と伝統が詰まっています。安藤人形店では、京都でも一流の西陣織や龍村織を衣装に使用しています。品質にこだわり、すべて京の専門職人によって手作業でひとつひとつ丁寧に作られています。
手をつけたり、顔をつけたり、衣装を着せたり、全て手作業で作られます。「手折り」という行程では、手折り棒を巧みに使って、微妙な手の動きを出す作業を行います。肩から肘のラインと、肘の曲がり方、そして肘から手の甲まで、その微妙な動きこそが職人の技です。
人形の置く場所や高さによって角度を変えたり、姿勢や顔の表情に合わせて着付師が衣装の配色なども変えているため、ひとつとして同じ姿のものはありません。
雛人形で一番大切なことは綿の使い方。綿を使うことで雛人形の特徴である、ふくらみやまろやかさが出て、柔らかい印象になります。正面・斜め・後ろどこから見ても美しい姿です。
<京雛について>
京雛(京都)とそれ以外の雛人形では顔の特徴が少し異なります。京雛は、ほっそりと描かれた眉に、切れ長の優しい目、上品な口元、京頭といわれる独特のおっとりした顔立ちが特徴で優雅さをそなえた表情が魅力です。また関東では、男雛を向かって左、女雛を向かって右に飾りますが、京都ではその反対、男雛を向かって右、女雛を向かって左に飾ります。京都御所の紫宸殿の御即位の式典に由来し、太陽が先に当たる側が上の位、「左をもって尊し」という古来の風習によります。古いしきたりを重んじる京都ならではの飾り方です。
同じ京雛でも全て手作りであるため、少しずつ表情も異なりひとつとして同じものはありません。写真では撮る角度によって見え方や雰囲気が変わってしまうため、実際に見て選んでいただくのが良いとのこと。じっくり時間をかけて好きな表情や衣装の人形をお選びください。どの場所に飾るかによっても選び方は変わるかもしれません。お好みやご希望に合わせて作りたての雛人形をお届けします。
安藤人形店オリジナルの長寿雛
安藤人形店ではオリジナルの京人形、長寿雛もご用意しております。
元々はご主人が還暦のお祝いとして奥様に贈ったのがはじまり。京人形の伝統を守りながら、現代の生活に溶け込む新しいスタイルの雛人形を生み出しています。
生地は約300年の歴史を持つ高級絹織物の丹後ちりめんを使用しています。生地表面の細かい凸凹が特徴で、白色の丹後ちりめんをそれぞれの色に染めたシンプルで鮮やかな深みのある色の衣装です。
写真の還暦雛は、魔除け・厄除け・生命力を意味する赤色。ご家庭に飾ればエネルギーがもらえる、また長寿の願いを託すことができるお色です。
赤は還暦(60歳)、緑は緑寿(66歳)、紺は古希(70歳)、黄色は喜寿(77歳)、オレンジは傘寿(80歳)、ベージュは米寿(88歳)、紫は卒寿(90歳)、白は白寿(99歳)、ゴールドは百寿(100歳)、桃色は全てのお祝い事に、幅広くお使いいただけます。
男雛と女雛のセットでも、どちらかだけでも、季節や場所、飾る方の年齢や性別を問わず、お好きなように飾っていただけます。ご自分へのご褒美やお祝いの贈り物にいかがでしょうか。
安藤人形店の雛人形ご紹介
黄櫨染(こうろぜん)という天皇陛下即位や皇室の祭儀で最も多く装われる天皇家の伝統の衣装です。黄櫨染は、太陽が昇るときの輝きであり、天皇のみがお召しになる色の衣装です。天皇家だけが用いることのできる桐・竹・鳳凰・麒麟の文様が織り込まれています。女雛の衣装には朝廷の風俗のしきたりにならって、弥生三月の梅の丸華紋(梅華紋)が描かれています。黄櫨染と梅華紋を一対にした親王飾りです。
貝殻の真珠層を織り込んだ螺鈿織や龍村織物の衣装。裳は中国のスワトウ刺繍で繊細な柄が表現されています。男雛の束帯と女雛の重ねを対にしている衣装です。
男雛の正倉院の復元の柄の束帯と女雛の唐絹が対になっています。小切れには龍村美術織物を使用しています。
男雛の帯には二条城の二の丸御殿の松が描かれています。その束帯と女雛の唐絹が対になっているのが特徴です。
保有資格・受賞歴・国際交流の実績等
現代の名工 厚生労働大臣表彰・卓越技能者
京の名工 京都府伝統産業優秀技術者指定
京人形伝統工芸士 人形部門
京都市伝統産業技術功労者
1965年秋 紺綬褒章拝受(初代安藤桂甫)
2007年春 黄綬褒章拝受(二代目安藤桂甫)
2020年秋 瑞宝単光章拝受(三代目安藤桂甫)
<雛人形献上>
2007年 プミポン国王(タイ王国)
温家宝主席(中国)
2014年 フィンランド共和国 海軍士官学校
2015年 シャーロット女王(イギリス)
2016年 ベルギー王室
<展示>
京都府の依頼より京都迎賓館に2013年に還暦雛、2016年に雛人形7段飾りを展示
ご案内
<営業時間>
10:00A.M.~6:00P.M.
<定休日>
日曜・祝日
(但し1月~4月は無休、5月~12月は第2・第4土曜も休み)
<アクセス>
●お車で
ホテルから約20分(駐車場3台有)
●公共交通機関で
京都市営地下鉄『国際会館』駅から『丸太町』下車 徒歩約7分
〒602-8024
京都市上京区油小路丸太町上る273-2
TEL:075-231-7466
※写真は、イメージです。
※営業日時が変更となる場合がございます。公式ホームページまたはお電話にてご確認ください。