マンガ『サ道』でも知られるタナカカツキ先生と、
著書『はじめてのサウナ』のイラストを手掛けられた
ほりゆりこさんにお話を伺いました。
※文中にある内容やイベントは変更・終了している場合がございます。
2021.11 UP
扉を開けると
人生を変えるサウナがあった
- タナカ
- ほりさんがサウナにハマったきっかけは?
- ほり
- もちろんカツキさんの『サ道』のマンガからです。
- タナカ
- あ、私の洗脳でしたね(笑)。それまではどういうイメージですか?
- ほり
- やっぱり、おじさんの楽園というか……。
- タナカ
- 人生の終わり的な?
- ほり
- そこまでは思っていません(笑)。だけど、周りにサウナに行く女性はいなかったですね。
サウナと水風呂の関係を意識して入るようになったらハマった感じです。
そもそも、カツキさんは?
- タナカ
- 私はジムのサウナ。仕事場近くにできたジムに通ったんだけど、
風呂だけ入って帰るみたいな状態になってしまった。
風呂は使うけど、サウナ室は見えていなかったんです。木の壁やと思っていました(笑)。
- ほり
- じゃ、ある時……。
- タナカ
- 「扉あるやん!」って。
- ほり
- 開けたら?
- タナカ
- 「サウナあるやん!」と。サウナ室が新しくいい匂いがしたのを覚えています。
サウナの入り方はわからないけど、自分なりに使ってみるとなんだか気持ちがいい。
それで、水風呂に少し入ったりしていたら。……偶然、ととのった。
- ほり
- ぐーぜん!
- タナカ
- そう(笑)。で、「何これ!?」ってなってきたんですよね。その後、『サ道』が誕生するんです。
- ほり
- ジムの扉を開いたら、フィンランドまでつながる世界が広がっていたんですね。
- ほり
- ……カツキさんの本を読むまでは「ととのう」って意識をしたことがなかったんですけど、
水風呂に入った後にぼんやりしていると、ぐるぐると気持ちが良くなった。
なんだこれはと。後に「あれがととのった状態か」と。
- タナカ
- 当時、「ととのう」って言葉が一般的ではなかったしね。
「ととのった」は濡れ頭巾ちゃん(トッププロサウナー)が使っていたんですよね。
- ほり
- いい言葉ですよね。『サ道』で「ととのう」が広がり、今や全国のサウナーが言っていますね。
- タナカ
- そもそも「ととのう」という状態は個々違うわけです。そこの面白さもありますよね。
- ほり
- それぞれの「ととのい」を追い求めて議論したり(笑)。
- タナカ
- マンガでは主人公の周りにサイケデリックな模様が広がり「ととのった!」と、
大げさに表現しています。
本当は、もっと静かに穏やかに広がっていく心の状態だと思うんです。
でね、面白いのがマンガの見過ぎであの状態でととのう人が現れ始めたんですよ。
その人たちの話を聞くと「自分はまだととのってないのかな……」って思います(笑)。
- ほり
- 私は水に入ったときに体が溶けてなくなるような感じが好きですね。
そして、その後の休憩のときの……。
- タナカ
- 戻っていく感じね。わかるなあ。あれは気持ちがいい。
- タナカ
- ほりさんはサウナに入って、具体的に変わったことはあります?
- ほり
- カツキさんとの共著で『はじめてのサウナ』という本で絵を描いていますけど、
私が絵を描けるようになったのがサウナに入ってからなんです。
- タナカ
- ……それってすごいよね。
- ほり
- 自分でも謎です。
気持ちがおおらかになって絵を見せることが恥ずかしくなくなったのが大きいと思う。
- タナカ
- 私は心身共に健やかになった気がします。
快適で心地よくご機嫌になるっていうのがサウナの魅力のひとつだと思うんです。
もうね、サウナだけでととのうんじゃなくて、1日中ととのっていたい。
それを探求していますね。
- ほり
- 方法がわかったら教えてください(笑)。
クリエイティブと
サウナの関係
- ほり
- クリエーターってサウナ好きが多い印象があります。
- タナカ
- 基本、座り仕事でしょう。
やはり、体を動かさなければ、あちこちにガタが来るし、仕事が続かない。
それで、「サウナでも行こうか」とか「ジムでも行こうか」となるんだと思いますね。
- ほり
- 仕事をやりすぎると、頭が疲れてきますよね。
だから、私はサウナに行ってなんにも考えない状況を作るのがすごく貴重な時間です。
- タナカ
- なにも考えない状態を意識的に作ることは、全ての人にいいと思う。
- ほり
- サウナでマンガのネタを考えたりもするんですか?
- タナカ
- 結構、考えますよ。
でもサウナ室にずっといると「暑いな」と「水風呂入りたいな」しか考えなくなる。
ととのった後、ゆっくりと思考の世界に入っていくので、そういう時に考えますね。