FIGURE 100
2016.05.20【Figure.04】
革新的なアプローチはこんなところから!
華麗に、かつ美しく消えた“赤プリ”解体工事
都心のランドマークとして、赤坂見附の交差点を見下ろすようにそびえ立っていた、「旧グランドプリンスホテル赤坂」。高さ約140m、地上40階建てという巨大高層ビルを、はたしてどのように解体するのか? そんな疑問を持つ人々をあっと驚かせたのが、じわじわとビルが縮んでいくという、目を疑うような光景でした。
「音もなく超高層ビルが消えた!」と、その斬新さで話題を呼んだ解体方法は、大成建設が独自に開発した「テコレップシステム」と呼ばれるもの。開発者である建築技術開発部の市原英樹次長が語った「目立たないように美しく解体することが、長年使われてきた建物への気遣いだ」という言葉通り、静かにスマートに消え去るこの技術は、近隣の安全と環境に配慮した次世代型の解体工法として、国内外のさまざまなメディアで取り上げられました。
「テコレップシステム」とは、「第14回 国土技術開発賞 最優秀賞」も受賞した最新の解体技術のことで、騒音や粉塵の拡散を抑えることが可能なうえに、解体工事によって発生する二酸化炭素も大幅にカットできるといいます。からくりは、既存の屋根をジャッキで支えて蓋にし、防音パネルで建物全体を完全に閉鎖空間にしてから解体作業を行うというもの。その後、ジャッキを下げることを繰り返し、まるで新築工事を巻き戻すかのように、1フロアずつ静かに解体していくのです。
世界初となる斬新な工法で、別れを告げた「旧グランドプリンスホテル赤坂」。センセーショナルな感動と革新を求める「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町の片鱗は、こんなところにも表れていたのです。