FIGURE 100
2016.05.30【Figure.10】
“うつわ”はどうあるべきか?
空間と料理と人、美しく溶け合う優美な器使い
最高の食材を吟味し、巧みな料理人の手によって調理される一流の料理。その料理人の感性を映す最後の仕上げとなるのが、技巧を凝らした盛り付けや器使いです。今回は、そんな器選びの現場に潜入してきたのでご紹介します。そこでは、ホテルの調理スタッフと、フードディレクター、藤本紀久子氏との熱いセッションが繰り広げられていました。
藤本氏がこだわったのは、伝統的な美しさを大切にしながらも、シンプルかつモダンな器選びです。「空中庭園のような洋食レストラン、アイスをテーマにしたモダンな和食レストラン、ともにデザイナーの主張が際立ったコンセプチュアルな空間だと感じました。そんな心地よい非日常を感じていただくために、主役となる料理を引き立てる器選びに徹しています。」とはいえ、単なるシンプルモダンではない。そこには目利きでもある藤本氏の感性が光る、手に馴染む厚みや重さ、質感にこだわったセンスのよい器が並びます。ホテルという空間の緊張を和らげる、温かみにもこだわったのだとか。
また、過剰なフォルムや色味を極力排したのも、ポイントの一つ。理由をたずねてみると「ホテルのレストランは、女性のお客さまが主役でなければ。せっかく美しく着飾った女性の邪魔をしないよう、背景となる器には色はいりません。」と、納得のひとこと。
コンセプチュアルな空間と器が見事に調和したレストラン、ぜひ、料理人のこだわりと、藤本氏の感性を味わいにお越しください。