その昔、赤プリが誇る「Barナポレオン」に、“ゴールデンブライト”と呼ばれる名物カクテルがありました。とあるバーテンダーが、日本ホテルバーメンズ協会の創作カクテルコンペティションのために考案し、そのカクテルの味と技術を競う最高の舞台で、見事、優勝を勝ち取ったという、渾身の１杯です。

このカクテル、見た目の華やかさも申し分なく、黄金色に輝く美しい佇まいは、マルコ・ポーロが東方見聞録で描いたジパングをイメージしたのだとか。飲めば、バカルディ ゴールドのふくよかな旨みと、オレンジフラワーウォーターを使ったリキュール、チャールストン ネロリの甘く爽やかな香りが絡まる豊潤な芳香…。その飲みやすさから食前酒として人気を博したカクテルでした。ところがある日突然、チャールストン ネロリの製造中止により、あえなくメニューから姿を消すこととなったのです。

それから10年。「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」の担当となったバーテンダーのもとに、“ゴールデンブライト”を復活させる契機が舞い込みます。「コンテンポラリーなデザインのホテルで、和のおもてなしを提供したい！」そう意気込んだバーテンダーの脳裏に浮かんだのは、あの“ゴールデンブライト”でした。「西洋と日本の融合。まさにマルコ・ポーロが見た日本、ジパングそのものではないか」と。そこから、復活させるための挑戦がはじまります。

必要なのは、カクテルの中核をなす、チャールストン ネロリに変わるリキュールを探すことでした。調べているうちに、エルダーフラワーのリキュールがあることを思い出しました。それは、チャールストン ネロリと同じように爽やかな甘みと、それとは異なる優しい香り…、出会った瞬間、バーテンダーは「いける！」、と確信したのです。合わせるラム酒も試行錯誤の結果、バカルディ ゴールドからバカルディ エイトへ変更。これが功を奏し、さらに濃厚でまろやかなカクテルへと生まれ変わったのです。ついに“ゴールデンブライト”の復活です！　バーテンダーの熱 意が結実した黄金の美酒は、「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」にしかない新たな名物カクテルとして、その歴史を歩みはじめることでしょう。