FIGURE 100
2016.07.05【Figure.30】
ホテルが誇るゲストルームの名品ギャラリー
MoMAも認めた日本の伝統工芸品 南部鉄器
コンテンポラリーなデザインが際立つ「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」では、ゲストルームの備品までもアーティな審美眼が発揮されています。寛ぎのティータイムをご提供する急須には、美しい伝統技が息づく南部鉄器を採用。宿泊担当が目をつけたのは、お茶を美味しくする優れた調理効果と、日本の伝統工芸品でありながら“和”のイメージを鮮やかに覆すヴィヴィッドなカラーリングでした。モダンな設えのゲストルームに、まさにうってつけだと考えたのです。
そもそもこの南部鉄器、こちらの商品のWEBサイトによると、その歴史は古く、平安時代の末期まで遡ります。岩手県は奥州、平泉の寺院の造営に端を発し、江戸時代には藩が保護育成に努めたことで、各地より多くの鋳物師・釜師が集結。この地で見事に発展をとげ、南部鉄器の産地になったといいます。2000年にはMoMAのショップでも展示されたデザイン性の高い作品もあり、ニューヨーク近代美術館のお墨付き。デザイン性のみならず、高い評価を受けているのは、やはり引き継がれてきた伝統の技にあります。鋳型作りにはじまり、研磨や文様押し、繊細な鋳肌に均等に並んだ粒「霰(あられ)」模様など、昔と変わらぬ方法で仕上げられる高度な技は圧巻です。特徴的なのが、鉄器の錆(さび)を防ぐための「金気止め」、約900℃の炭火の中に約30分鉄瓶を入れて焼くという、南部鉄器独特の技だとか。
忘れてはならないのが、その味のまろやかさ。「古来より茶釜に南部鉄器が好まれていたのには理由があり、ミネラル分が鉄に付着することで、お湯が甘くまろやかになるから。保温性に優れているのもおすすめしたいポイントです。」とは、宿泊担当のコメント。ギャラリーという名のホテルにふさわしい、どんな南部鉄器がお目見えするのかは、オープン後のお楽しみです。