ウイスキーといえば水割り、と誰もが即座に応えるほど、水割りは私たち日本人にとってスタンダードな飲み方です。ご存知の通りウイスキーを水で割り、氷を入れて楽しむスタイルを指すのですが、実はこれ、ウイスキーの故郷スコットランドでは、水で割ることはあっても、氷を入れるということはあまりしないのだとか。その理由は、氷を入れることによって冷えすぎてしまい、せっかくのウイスキーの香りが抑えられてしまうのと、もう１点、時間とともに氷が溶け出し、味が損なわれてしまうからだといいます。

常々、もっと本場の飲み方でウイスキーを味わってもらいたい、と考えていたバーテンダー。欧米人に比べアルコールに弱いとされている私たち日本人でも気軽に楽しめ、なおかつウイスキーの風味を感じられる新しい飲み方はないものか、と試行錯誤を重ねた結果、ついに編み出したのが、“ウォーターマジック”というスタイルです。やり方はいたって簡単、冷やしたチューリップ型のワイングラスにクラッシュアイスを２〜３粒落とし、ウイスキーを注ぎます。その後、グラスをスウィングさせ、氷が溶けたら冷たい水を垂らし、またスウィングさせるというもの。こうすることでウイスキー本来の香りが感じられるうえに、ワイングラスを使用するため、体温による熱伝導でぬるくなることもなく、ベストな濃度を保ったまま最後まで風味を楽しめるのです。ポイントは、スウィングをストップするタイミング。くるくると回しているうちに、くっと香りが閉じる瞬間があるといいます。それがウイスキーの冷えたサイン。このタイミングを逃さないよう、鼻を利かせようと真剣なのだとか。

「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」のバーテンダー発案した、この“ウォーターマジック”は、日本ホテルバーメンズ協会にも登録済。ウイスキーのほか、コニャックや甘いリキュールでもお試しあれ。驚くほど清涼感の増す美味しさは、“マジック”という名にふさわしい、と実感されることでしょう。