FIGURE 100
2016.05.19【Figure.03】
55年の歴史にありがとう。ホテルマンが見た、
旧グランドプリンスホテル赤坂、最後の日
「ありがとうございました!」ハイヤーに乗る最後のお客さまをお見送りし、グランドプリンスホテル赤坂は、55年の歴史に幕を下ろしました。2011年3月31日のことでした。「1955年の開業以来、“赤プリ”の愛称で親しんでいただき、政治、経済、文化、芸能の様々な場を提供してまいりました。これまでのご愛顧に感謝申し上げます。
支配人はこう挨拶をして、深々と頭を下げました。
折しもこの時、東日本大震災直後ということもあり、被災者の一時避難施設としてしばらく稼働することが決まっていました。そのため、閉館を惜しむ間もなく受け入れ準備へと移ったのも想い出深いものがあります。「取り壊されるぎりぎりまで多くの人を迎えられて嬉しい」 そんな声もスタッフからあがりました。その日、ホテルスタッフ全員で記念におさめたのが、この1枚です。
55年の歴史の中で、私たちがお客さまからいただいたものがあります。それは、たくさんのご指導とお言葉による、あたたかな励ましです。それらを財産として次世代に繋ぐべく、閉館までの約1年間、 “赤プリ”の思い出やお声を「わたしの“赤プリ”メッセージ」として募集させていただきました。閉館セレモニーではこのメッセージを次のホテルへと繋げることを約束し、最後のお客さまの手によってメッセージボックスは封印されたのです。
その日から5年余り…。「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」オープンの瞬間まで、鍵とメッセージボックスはひっそりと大切に保管されています。